【法律違反?】ゴミ屋敷(部屋)の法的な観点での解説

2023/03/05

ゴミ屋敷にしていると法的にどんな問題があるのか?強制退去や更新拒否または退去の際の原状回復はどうなるのか?ゴミ屋敷汚部屋に住む方の大きな関心だと思いますのでまごのて代表取締役であり宅地建物取引士である佐々木久史が解説いたします。

☆本文内のリーガルチェックは栃木柳沢法律事務所弁護士栃木義弘先生が行いました。
 

 

借主の責任と大家さんの義務

ゴミ屋敷にまつわる法律知識

【法改正】賃借人の原状回復義務が明文化されました【部屋の借主の責任の範囲とは?】

部屋を散らかしたりゴミを溜めたりするのは『犯罪行為』ですか?
ゴミ部屋(屋敷)にすると訴えられたりするって本当ですか?

ときどきこのような質問をされることがあります。
かなり以前にゴミ部屋にしてしまい、その上水漏れを起こしてしまった女の子は逮捕される!と泣きながら電話してきたこともありました。

いわゆる刑法にはあたらないので逮捕されるとか、そのことによって『前科〇〇』というようなことはありません。

ですが、一般の人のため日々の生活のための法律である民法の条文では抵触するようなことはあります、具体的には部屋にゴミを溜める、通常の概念からは想定できない汚れを発生させた、このような場合には何らかのペナルティを受ける可能性は十分に考えられます。

まず賃貸住宅に対する法律は大きく2つあります、①借地借家法②民法です。
借地借家法は借主というより貸す側(つまり大家さん)を規制する色合いが多くあまり借主には関係のないことが主です(むしろ借手保護が中心)

民法621条『賃借人は、原則、賃貸物の原状回復義務を負う』『ただし、通常損耗・賃借人の帰責性のない損傷については負わない』ということが2020年の改正で明文化されました(従来はアバウトなものでした)これは下記判例から改正に至りました。

(最高裁 平成17年12月16日判決)
賃借物件の損耗の発生は、賃貸借という契約 の本質上当然に予定されているものであり、 それゆえ、建物の賃貸借においては、借主が 社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の 中に含ませてその支払を受けることにより行われている。 

この判例は賃借人が退去をする際に普通に使用していたために起きたような汚れや傷などの補修に対し敷金から引いたり原状回復費の高額請求は不当だと訴えたことにより出た判決です。

賃貸物件という性質上部屋の損耗(傷や汚れ)は当然起こることが予定されいる、部屋を貸す側はそのことを見込んで家賃を設定し受け取っているのだから退去時に賃借人に多大な負担を押し付けてはいけない、という判例です。

ここで重要なキーワードは「社会通念上通常の使用」です。
いわゆるゴミ部屋(屋敷)や汚部屋はこの社会通念上通常の使用にあたるかどうかです、それこそ判例がありませんので一概には言えないのですが、上記からは逸したものと考えれます。

この条文と判例はあくまでも敷金精算や退去時のトラブルから派生したものではありますが、部屋の使用について一定のルールが明文化されたと考えていいと思います。

つまりゴミ部屋や汚部屋は社会通念上通常の使用を超える使用となり、場合によっては貸主側から契約解除や損害賠償ということも考えられなくもありません。(判例がないのでその線引きは曖昧なままですが)

何度も言いますがこの条文は賃貸住宅の退去時のことが明文化されただけですが社会通念上通常の使用という文言から見ても居住中のことについても適用できると考えます。

居住中は部屋をどう使おうと勝手だ、ドアの内側はプライベートなスペースなんだから干渉させないというような理論も一部まかり通っていた部分がありますが(立入調査など)この条文の拡大解釈でそれらの行為も通らなくなる可能性もあります。

ゴミ屋敷にすると訴えられたり逮捕されたりするのか
 

賃貸住宅退去時にゴミ部屋であったことを理由に多大な修繕費の請求

この条文が明文化されたということは裏を返せば通常使用と考えられない使い方をしていたのだからと莫大な退去費用を請求される可能性が高まったと言えます。

今までもゴミ部屋であったことが大家さんに知られていて退去時に退去費用で大きく揉めたという話はたくさんありますが、明文化されていなかったのでアバウトに処理されていたのが現状ですが今後ははっきりと理論立てて請求される可能性が高いと思われます。

では、ひとたびゴミ部屋(屋敷)汚部屋としてしまったらサンドバッグ状態で言われるまま応じなければいけないのかと言えばそうではありません。

条文中にある「通常損耗・賃借人の帰責性のない損傷については負わない」というのがポイントです。
一時的にゴミを溜めたり汚したりはしたけれど、通常に使用していたレベルまで回復させれば問題ないという考え方です。

かつてこんな例がありました、大家さんはゴミを長年溜めている賃借人がいることを知っていました、その賃借人(すなわち弊社への依頼者)が退去の際にゴミを片付け、水回りや部屋全体をクリーニングしそれなりの状態で返還したにも関わらず、大家さんは居住中の行為により建物自体に損傷が出たとして莫大な現状回復費を請求したのです。

まだ上記条文が明文化される前だったので、部屋で孤独死や自殺による損害賠償請求の事例を示し弊社が中に入って交渉し住んでいた期間なりの部屋として返還されたと納得してもらったことがありました。

つまり放置することはいけないですが、その事実を(ゴミ部屋、汚部屋)を認識してるのであれば、入居時のような状態と言えないまでも住んでる期間なりの修復は必要です(退去じゃないとしても)

(参考サイト)

孤独死や自殺があった部屋の特殊清掃と除菌

行政書士や宅建士常駐。不動産オーナーや管理者のための特殊清掃相談窓口
 

ゴミ部屋や汚部屋は思い悩むよりまず相談

株式会社まごのてはゴミ屋敷片付けや特殊清掃を行う清掃会社ですが、行政書士や宅建士が常駐しており、このような法的見地からのアドバイスも可能です。

部屋が荒れてると心も荒れてきます、思い悩むよりまずは前向きにお片付けしてみませんか?

ゴミ部屋(屋敷)汚部屋、特殊清掃はなんでもご相談ください、確実に解決いたします!
 

賃貸物件トラブルを法的見地でお知らせする動画


ゴミ屋敷やゴミ部屋にしてると強制退去はあり得るのかということを童画で解説(宅建士、佐々木久史が解説)


こちらは孤独死は善管注意義務違反に抵触するのかを解説